いま、建設業界では若手のなり手不足が深刻化しているといわれます。
総務省が発表した「労働力調査」によると、2022度における建設業への就業者数は479万人で、就業者数がピークを迎えた1997年度と比較して29%減少しています。
同調査から、建設業界の就業者数が減少しているだけではなく高齢化が進んでいることもわかります。
そもそも建設業界へ就職する人材が減少していることも理由のひとつですが、「入社した人材が定着しない」という問題もあります。
若手社員のモチベーションをアップさせ、会社に定着してもらうには、どのようなアプローチを取るべきなのでしょうか。
今回は、建設業界における人材獲得・定着率向上について、有効な解決策を紹介します。
まず、現在の建設業界の状況を踏まえて、事業者は作業員の確保や育成に向け、職場環境の改善を目指さなくてはなりません。
中には政府とともに改善をめざすものもあり、主に次の内容を見直すことが求められています。
・休日確保:週休2日制、4週8休など ・安全な労働環境の提供 ・賃金の見直し
・キャリアビジョンの明確化:建設技能者の能力評価制度の導入と企業の施工能力の見える化
これらは2024年4月より建設業界に適用される働き方改革関連法に関連したものであり、時間外労働が上限を超えた場合には罰則を受ける可能性もあります。
そして建設業界の中でも、特に業務数が多い職種が「施工管理」です。
工事のスケジュール調整や現場の安全管理などを主に担っており、業務には幅広い専門の用語や知識が必要となります。
さらに、現場の作業員への指示や施主との調整など、マネージメント能力も必要です。
1人前になるには10年はかかるとも言われる仕事です。
しかし、仕事の覚え方としては「現場の先輩をまねて覚える」という方法が主流でした。
しかし若手の育成において、そうした学び方では不十分です。また、配属された現場の上司によって、新入社員のモチベーションや理解度・習得度に大きなばらつきが生じてしまいます。
こうした問題を解決するためには、中小企業でも座学で体系的に教育することが大切です。
例えば、1年目の社員は、施工管理や総務、営業など、1年間かけてさまざまな職種を経験します。
そのうえで2年目から希望する職場に配属します。
これにより、会社の全体を把握してもらい、ミスマッチをなくすことが期待できます。
安全管理の方法や工事計画の書き方などといった、現場で必要となる知識を、月に1回のペースの授業形式で教える研修も効果的です。
特に専門的な部分は当然現場のOJTが重要となるものの、社内でも基本的な部分を研修という形で教えます。 前提知識を持つことで、新人の「何がわからないのかがわからない」という戸惑いをで取り除き、自信を持って現場で仕事をしてもらう狙いがあります。
これにより新人の成長速度をはやめ、いち早く戦力にすることもできるでしょう。
中小の建設会社にとって、人材を定着させられるかは、生命線とも言えるほど重大な課題です。
「2024年問題」と呼ばれる問題を乗り越えるためにも、こうした取り組みを社内に浸透させることが重要です。
今回は建設業界における若手人材定着のためのアプローチについてご紹介しました。是非参考にしてみてください。