想像してみてください。
もし企業内で日々蓄積される大量の情報を、リアルタイムで把握し、様々な質問に即座に答えることができる社員がいたら、どんなに業務が効率化するでしょうか。
人間の能力にはその限界があります。しかし、AI技術の導入によって、これまでにない新たな可能性が開かれています。
特に注目すべきは、社内資料を深く理解するAIの導入です。これにより、情報管理と意思決定のプロセスが劇的に変革される可能性があります。
この記事では、Open AI社が提供しているAssistants APIを用いて「架空の社内規則」を学習させたプロセスとその結果を、ファインチューニングを用いた事例と比較しながらご紹介します。
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Assistants APIって何?
Assistants APIは、Assistantを独自のアプリケーションや外部サービスに統合するためのツールです。このAPIは主に次の3つの機能があります。
- 関数呼び出し(Function Calling): AIが特定のタスクを実行するための関数を呼び出す機能。
- コード解釈(Code Interpreter): AIがPythonコードを解釈し実行する機能。
- 情報検索(Retrieval): ドキュメントの内容を基に、AIが質問に回答する機能。
情報検索(Retrieval)は、社内文書やデータベースから即座に情報を引き出す際に非常に役立ちます。
作成プロセス
Assistantの作成には、OpenAIのPlaygroundを使用しました。
プロセスは非常にシンプルで、次のステップで構成されています。
- モデルの選択 : 今回は最新のGPT-4モデルを使用しました。
- ツールの選択:Retrievalを選択
- データのアップロード : 学習に使用するPDFをアップロード
(このPDFは、ファインチューニングの際に作成したjsonlファイルと同じ内容のPDFファイルを使用しました。) - テスト: Assistantが作成された後、チャット形式で質問を行い、回答を確認しました。
結果と評価
10の質問に対して9つの正解を得ることでました。
使用したモデルが異なるため厳密な比較はできませんが、以前のファインチューニングを使用したアプローチと比較して大幅な改善です。
ただし、連続してAIと対話を続けるとコストが増加する可能性があるため、注意が必要です。
次のステップ
Assistants APIを使用して社内Assistantを作成するプロセスは非常に簡単で、高い実用性があると感じました。
次回は、Assistantを外部環境(LINE)に組み込む事例をご紹介したいと思います。