人事部が早急に取り組まなければいけない問題として、女性の活躍の推進があります。会社全体としての取り組みには、大きく分けて採用時の性差別をなくすことを目的とするものと、採用後実際に働く女性社員にとって快適な職場環境を整えるためのものの二つに分けられます。
まず採用時には、履歴書の性別選択欄を撤廃し、パートナーの有無や子育てなどの個人的な質問をしないことなどが挙げられます。また、人事部の限られた社員だけではどうしても考えが偏ってしまったり、先入観や無意識の差別(アンコンシャスバイアス)に気づくことが難しいことがあります。したがって、AIを用いた応募者の絞り込みや、排他的な選考になっていたかを外部機関に審査してもらうことで、人事部や会社内部の問題に気づくことができます。これらは、性別にかかわらず実力やポテンシャルに基づいてより公正で平等な会社運営につながります。また適切に評価されていると女性社員が感じられると、モチベーションアップにつながり、会社へのさらなるコミットが期待できます。
また、現在働いている社員に対してできることとして、さまざまな解決策が挙げられますが、会社全体としての行動と、社員一人ひとりへの個別の働きかけの大きく2種類に分けることができます。会社が取り組む組織改革としては、女性の昇進や雇用の割合の増加、実際に女性活躍の推進に取り組み成果をあげている企業への見学や、他企業と定期的な意見交換をする機会を設けることで、自社の課題を客観的にとらえ、効果的な解決策を発見することができます。個人へのアプローチとしては、性差別についてやハラスメントに関する講習会や女性社員を主なターゲットとするリーダーシップ研修、社員への定期的な聞き取り調査の実施などが挙げられます。近年男女平等に関する社会の意識が向上してきていますが、どのような言動が性差別に当たるのか、また実際に当事者として性差別を経験したり、相談されたり目撃した際の適切な対処法についての知識を持ち合わせている人はあまり多いとは言えないでしょう。誰にも言えずに苦しんだり、さらに相手を傷つけたりすることがないように正しい知識を身につけることができる機会を提供しなければなりません。また、積極的な女性社員の昇進や幹部ポジションへの登用を進めたあと、女性社員が同僚をリードし最大限の成果を残せるように、リーダーシップについて学べる機会を提供することも必要です。ただ、女性の昇進を進めるだけで終わらず、昇進後こともきちんと考えた改革が大切です。そして、働いている中で実際に感じている悩みや問題を定期的に聞き取りをすることで、社内の職場環境を把握し、男女関わらず、心地よい職場環境を整えることも大切です。
性別に関わらず、個人が能力を発揮できるためを目指して
