会社で働く中で、「有給休暇の申請はどうしたらいいのか?」「副業は許可されているのか?」といった質問が生じた時、直接人に尋ねるのが面倒に感じることがあります。このような時に、生成AIに気軽に何度でも質問できたらどうでしょうか?
これまでに、ChatGPTのAssistant API機能を利用し、社内規則に関する学習を行ったAIアシスタントを開発しました。今回は、このアシスタントを実用化に向けて、日常的に利用率が高いLINEを介して、ChatGPTによる即時回答が可能となるように連携しました。本記事では、LINEとの連携方法と、それによって浮かび上がった課題及び今後の可能性について紹介します。
生成AIを利用したLINEボットの開発プロセス
LINEとの連携は非常に簡単で、開発プロセスは大きく3つのステップに分かれます。
- LINE Developersでの設定
まず、会社の公式LINEアカウントを作成し、LINE Developersポータルでチャンネルアクセストークンを取得します。 - Google Apps Scriptの利用
次に、チャンネルアクセストークンおよびAPIキーを含むスクリプトをGoogle Apps Scriptで作成し、URLを取得します。 - LINEとの連携
得られたURLをLINE Developersポータルに貼り付け、連携を完了させます。
完成したLINEボットへ質問を投げかけてみると、無事に、学習データ通りの返答を得ることができました。
課題と解決策
開発プロセスを進める中で、質問に対する応答が遅れたり、時には全く返ってこない場合がありました。これは、技術的な問題や学習データの不足が原因であると考えられ、現在も改善のための調査を続けています。
成果と利点
LINEボットの導入は、従業員が社内規則に関する質問を簡単かつ直接的に解決できるようになる大きな一歩です。現段階ではテストフェーズにあり、全従業員がアクセスできる状態にはまだありませんが、今後以下のような利点が期待できます。
- 情報アクセスの即時性:従業員は、いつでもどこでも、自分のスマートフォンから社内規則に関する質問を投げかけ、即座に回答を得られるようになります。
- 利便性の向上:LINEという親しみやすいプラットフォームを通じて、必要な情報に容易にアクセスできることで、従業員の働きやすさが改善されます。
- コミュニケーションの円滑化:直接人に尋ねることに抵抗がある疑問や問題でも、気軽に質問できる環境が提供されます。
まとめ
生成AIを利用したLINEボットの導入は、社内コミュニケーションの様相を変える可能性を秘めています。このプロジェクトを通じて見えてきた課題の解決と、継続的な改善努力を重ねることで、この革新的な技術は将来的に、企業の日々の業務をサポートするための重要なツールへと進化することが期待されます。特に、LINEをはじめとする様々なプラットフォームとの連携を模索することで、その応用範囲はさらに広がります。従業員がいつでもどこでも簡単に情報にアクセスできるようになることで、働きやすさの向上とコミュニケーションの円滑化が実現され、企業全体の効率性と生産性が飛躍的に向上するでしょう。