いま、日本ではあらゆる産業で人手不足が深刻化しています。

その数は政府推計で34万人となっており、それをどう補うかが課題となっています。

そこで「外国人材」が挙げられますが、いま日本はもはや「選ばれる国」ではないといわれます。

外国人を低賃金で雇うという従来の発想では、外国人材は集まりません。

稼げる国として、アジア新興国から「選ばれる国」であった日本の地位が揺らいでいるのです。

韓国の賃金は日本を超え、1人当たりの名目GDP(国内総生産)も日本、韓国、台湾の3か国でほとんど差がなくなっています。

さらに円安が進み、母国に仕送りをすると送金額が目減りしてしまうなどといった問題もあります。

国外に働きに出る労働者は、もちろんより稼げる、また受け入れ制度がきちんと整っている国を選びます。しかしこの制度という点でも、日本の技能実習生に家族の帯同は認められていませんが、韓国、台湾では認められています。

外国人材は日本にとって不可欠な労働力になっているにも関わらず、受け入れ先の多くは「日本の技術を教える」という趣旨を利用して最低賃金しか支払っていません。

アジアの中で、労働力を取り合うような状況が今後も進むと予想されています。

外国人材に頼る企業、産業は今後どうすれば外国人に「選ばれる」ようになるのでしょうか。

例えば山形県にある金属加工会社では、全従業員の3分の1以上が外国人です。

外国人社員らの提案で2019年から技能実習生の受け入れを開始しました。

「雇ってやる」というスタンスではなく、まず外国人社員とともに出身地に赴いて、実習生を面接します。入社してからも先輩の外国人社員が日本語を教えたり、生活の相談に乗るなど、外国人従業員同士でのつながりを築いています。

日本人である社長も、技能実習生を一従業員として常に気にかけています。

例えば、彼らが結婚し、妻や夫を日本に呼び寄せたら、彼らのことも従業員として雇います。地方部では働き口が少なく、特に言葉の壁があると働く場所が見つかりにくいことを考慮してです。

また彼らの子供が保育園や学校に入るときは、社長直々に挨拶に行くといいます。

職場環境が良ければ、親族や知り合いなどに口コミやSNSを通じて会社を紹介してもらうこともできます。

外国人材に選ばれるように、また会社に定着してもらうためにするには、家族の一員のように生活支援まで行うことや、個人のバックグラウンドを考慮する必要があるのです。

日本語が不自由であれば当然地域とのつながりも築きにくくなります。積極的に地域のイベントに参加できるようにサポートする、役所での手続きをサポートするなどの取り組みが、外国人材にとってひとつの魅力となるでしょう。

また外国人材の持つ生活習慣や宗教についても理解を示すことが重要です。

選ばれる職場になるために、どう魅力を高めていくのか。

為替相場の変動や、外部環境が大きく変化する中で、日本の企業に変化が求められています。