共働き夫婦の増加や高齢化が進むなか、日本社会は仕事と育児や介護の両立をサポートする体制が十分に整っているとは言えないのが現状です。育児や介護をしている従業員に対して適切な支援をし、会社全体で理解を深めることで、当事者が今後も働きやすい職場環境を作ることができ、さらなる会社の発展にもつながります。この記事では、育児や介護をしている従業員に対する支援策と、周りの従業員の理解を深めるための方法の両方を紹介します。
まず、育児中の従業員へのサポートとして、従来から導入されている育児休暇制の給与や期間が適切かを見直し、必要に応じて変更することが必要です。また、母親だけでなく父親も積極的に育児休暇を取得し育児に参加することで、母親の負担を軽減するだけでなく、育児休暇について当事者として経験し、子育て世代の従業員へのさらなる理解が深まることも多いに期待できます。そして、リモートワークやフレックス制度を用いて、子育てとの両立が容易になるようなワークスタイルを提供したり、子供の学校行事や急な体調不良や対応できるように、分単位での有給休暇の取得を可能にすることも効果的です。これらの他にも、子連れ出社制度や託児所の導入や保育園との連携、パートナーの会社との連携で育児休暇の期間を調整することで、育児休暇制度を最大限に活用し、どちらか一方に過度な負担がかからないように協力しながら子育てをすることができます。
介護をしている従業員に対する支援としては、介護休暇や介護手当の導入や、勤務時間の短縮など育児中の従業員へのサポートと同様のものがあげられます。育児と比べ、介護をしている従業員の状況への理解はまだまだ乏しいのが現状であり、誰にも相談できず精神的にも肉体的にも疲弊してしまうことが十分に考えられます。会社が従業員に対して、介護サービスや公的支援の紹介をしたり、介護施設の斡旋をすることも効果的であると考えられます。
また、育児と介護に共通して、同じような経験をした同僚社員に相談し、アドバイスをもらえるメンター制度や、実際に育児や介護を経験していない従業員が当事者の苦悩を知り、どのような声掛けやサポートができるのかを学ぶ勉強会、産後うつや育児・介護のストレスなどで不安定な精神状態を改善するためのカウンセリングのサービスなども挙げられます。
育児や介護をしている当事者だけでなく周りの理解を深め、会社一丸となって当事者をサポートする環境を作ることで、誰もが安心でき居心地の良い職場にすることができます。